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曲想

同じチップチューンと捉えられている楽曲の間でも、その曲想は非常に多岐にわたる。それは、チップチューンというジャンル分けが、単に音色もしくは制作プロセスという面からの分類であり、曲想の観点からの細分がなされていないからである。

その例として顕著なのが、例えばアメリカ南部のルーツミュージックなどをベースにしているBud Melvinや、60'sジャズやバート・バカラックの影響を大きく受けたアレンジを再現しているYMCKなどである。

とはいえ、チップチューンにおいて主流となり易い音楽形態というものは存在する。

PC発売当時からMIDIが普及するまでの間は、アマチュアによって数多くのプリミティブな楽曲が作られている。
旧来からのゲームミュージック愛好者による同楽曲のカバー・アレンジやそれらを曲想としたオリジナル曲。
既存の著名な楽曲をあえてチップチューンカバーするケースも増えてきている。
近年はループを中心に据えたテクノ・ミュージック寄りの音楽が多い。
特に、ゲームボーイによる音楽制作ではループベースの音楽制作に特化したソフトであるNanoloopが大きな影響を持っている。

また、不正にプロテクトを外したゲームソフトを起動したときに、プロテクトをはずしたクラッカーのクレジットとメッセージ等を表示させるクラックトロ及びデモシーンのイントロというプログラムでは、プログラムの読み込み領域の余っているわずかな領域を有効利用するために、独特な音楽スタイルのチップチューンがしばしば使われている。またMODフォーマットにおいても、懐古趣味なデモシーンスタイルである"Oldschool"において、イントロで使用されるような音楽スタイルを守り続けている。このような音楽スタイルのデータはMOD Archive Top 10などのWEBサイトにて、入手可能である。

技術的観点 [編集]

音源チップ [編集]
音源チップの種類は、ゲーム機・パーソナルコンピュータの機種ごとに異なっており、それぞれ異なった機能と音色を有しているが、それらのほとんどはPSGまたはFM音源を技術のベースとし、それに独自の工夫や種々の付加機能を加えた格好となっている。

サンプリングによる波形生成も用いられることがあるが、80年代頃の音源チップに関しては、その記憶容量の制約から、楽器音のサンプルをそのまま利用するのではなく、最低限のサンプルだけを保持し、代わりに各種パラメータ(エンベロープ・LFOや音高・ベロシティなど)に応じて再生時に時系列変化(余韻・ビブラートなど)やニュアンスの変化を合成することが行われる。これは単に容量の節約というメリットの他に、曲の表情によってパラメータを細かく変えるなどでより豊かな表現力を獲得できるメリットがある。このメリットのため、こうしたパラメータを絡める方法は現在でも一般的なシンセサイザーにも用いられている。

音源チップの具体例 [編集]
チップチューンにおいて、使用されるおもな内蔵音源チップは、以下のとおりである。

アタリ400/800 - analog-digital hybrid Atari POKY
コモドール64 - MOS Technology製SID
MSX、アタリST、ZX Spectrum - ヤマハ製YM2149(SSG) General Instruments製AY-3-8910(PSG)
NEC PC-9801 - ヤマハ製YM2203(OPN) YM2608(OPNA)
シャープ X68000 - ヤマハ製YM2151(OPM) 沖電気製MSM6258
IBM PC/AT互換機 - ヤマハ製YM3812(OPL2)
任天堂ファミリーコンピュータ - リコー製2A03(pAPU)
なお、MSXにおいては、以下のようなそれぞれ独特の音色をもった拡張音源がリリースされた。

コナミ製SCC (波形メモリ音源)
ヤマハ製YM2413 (MSX-MUSIC)
ヤマハ製Y8950(OPLを拡張したもの) (MSX-AUDIO)
ヤマハ製YMF278(OPL4) (Moonsound)
ファミリーコンピュータにおいても、独自の特色を持つ拡張音源が、各ゲームのカートリッジへ内蔵する形でリリースされている。

VRC6 (コナミ)
VRC7 (コナミ)
NAMCO106/113 (ナムコ)
MMC5 (HAL研究所)
RP2C33 (任天堂) ※ゲームではなくディスクシステムに搭載。
SUNSOFT5B (サン電子) ※FME7のカスタムチップ。本来のFME7には音源機能は無い。また、「Sunsoft5B」という誤った表記が広まっているが、すべて大文字の「SUNSOFT 5B」が正しい。

チップチューンの制作方法 [編集]
チップチューンの制作方法は大きく分けて実機を用いた制作方法とサンプリング/エミュレーションによる制作方法とがある。

実機を用いた制作方法 [編集]
現在、実機を用いて音楽制作が可能なゲーム機・パーソナルコンピュータとしては以下のようなものがある。

アタリ2600
Synthcartカートリッジにより楽曲制作が可能
コモドール64
John Playerなどの音楽ソフトにより楽曲制作が可能
ファミリーコンピュータ(およびNES)
ファミリーコンピュータ上で動作する本格的な音楽制作ツールは存在しないが(簡易音楽ツールは存在する)、MIDIによる制御で音源を直接操作できるMIDINESカートリッジや、PC上で制作した演奏情報ファイルを読み込んで演奏する NSF PLAYBACK カートリッジ等が存在する。
ゲームボーイ
Nanoloop および Little Sound DJ カートリッジにより音楽制作が可能。また、MIDIにより複数台のゲームボーイを同期可能。それぞれ、制作した楽曲データはカートリッジ内に保存される。
SID STATION
スウェーデンのELEKTRON社から2000年に発表されたMIDIシンセサイザー。コモドール64から音源部分であるSIDチップ(MOS6581)を抽出して製造された物である為、実機同様の音色を有しつつ、より楽器として特化したインターフェイスで演奏する事ができる。また、同社のシンセサイザーMONOMACHINEにはSIDを再現したモデリング音源が搭載されているので、こちらを使用するのも有効な手段である。
MSX
MML書式のテキストを各種音源(PSG, FM, 波形メモリ)ドライバ向けにコンバートして作成する方法が主流。代表的な音源ドライバ・フォーマットとしてMGSDRV, MUSICA, 勤労シリーズ(MUSICA上位互換)など。
NEC PC-9801シリーズ
主にMS-DOS上でFM音源ドライバと周辺ツールおよびテキストエディタ(MMLで記述する)を用いて作成される。代表的なものとしてFMP, PMD, FSP, music.com(ログインソフト製), みゅあっぷ98などが挙げられる。それぞれ、機能は同等であってもドライバの実装方法などにより出音が異なることがある。
シャープ X68000シリーズ
FM音源およびADPCM音源ドライバと周辺ツールおよびテキストエディタ(MMLで記述するものが大多数)を用いて作成される。代表的なものとしてMDX(MXDRV), ZMUSICなどが挙げられる。それぞれ、機能は同等であってもドライバの実装方法などにより出音が異なることがある。
これら実機で制作した楽曲を公開する際は、実機からのオーディオ出力を録音してデジタル化し、mp3などの形式で公開する。

サンプリング/エミュレーションによる制作方法 [編集]
このタイプの方法は、さらにエミュレータによる制作方法、MODトラッカーによる制作方法、各種DAWソフトを使った方法に大別される。

エミュレータによる制作方法
PCの処理能力の向上で古い8bit機のハードウェア挙動をソフトウェアでエミュレート可能になったことを利用し、当時の音源チップによる音色をPC上のエミュレーションで得る方法である。代表的なものはMCKと各種NSFプレイヤーの組み合わせである。この方法では、ファミリーコンピュータ(またはNES)の音楽演奏用バイナリをMCKによって生成する。このバイナリをNSF形式という。このNSFデータを何らかの方法で実機に認識させれば、実機でも演奏が可能である。上記NSF PLAYBACK カートリッジはそれを実現するものである。PC上で演奏する場合は、各種NSFプレイヤー、もしくはNSF演奏機能を持つエミュレータに読み込ませて演奏する。この方式で制作された楽曲は、NSF形式のまま公開されることもあれば、ソフトウェア的にmp3などに変換されて公開されるケースもある。
PCの性能上、エミュレータ上での再生が不安定な場合でもWinamp, KBmediaplayerなどの音源エミュレート機能・専用ファイル再生機能を持つソフト上で安定かつクリアな音で再生させることも可能。
MODトラッカーによる制作方法
MODはサンプリングデータと演奏データをコンパクトにまとめたファイル形式であり、このMODデータを作成する一種のシーケンサーソフトをトラッカーと呼ぶ。トラッカーには様々な種類があり、機能も様々である。MOD形式の発展系として、S3M形式・XM形式・IT形式などがある。制作した楽曲は、これらのファイル形式のまま公開されるか、または mp3などの一般的なフォーマットに変換されて公開されることもある。
各種DAWソフトを使った方法
これはいわゆる通常のDTMと同様な方法での制作であり、使用するサンプルやソフトウェア音源に各種音源チップの音色を割り当てる。8bit系内蔵音源をエミュレートするソフトウェア音源の代表的なものとしては、コモドールなどに搭載されたSIDチップをエミュレートするQuadra SIDや、ファミリーコンピュータを模した各種波形を生成する Magical 8bit Plug などがある。

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2009年04月08日 09:27に投稿されたエントリーのページです。

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